冷凍野菜の不都合な真実
冷凍野菜って栄養価はどうなってるの?
冷凍すると細胞が壊れる、それと同じようにビタミンとかも壊れるの?
金井 進さんによる冷凍野菜Contents
冷凍野菜の栄養価
冷凍野菜の栄養価については、以下のような特徴があります。
- 栄養素の保存
- 冷凍野菜は、新鮮な野菜と比較しても多くの栄養素がよく保存されます。これは、収穫後すぐにブランチング(軽く茹でる)して急速冷凍することで、栄養素の損失を最小限に抑えるためです。
- 例えば、ビタミンCは熱や光に弱く、新鮮な状態では時間とともに減少しますが、冷凍することでその減少を抑えることができます。
- 栄養素の変化
- 冷凍する過程で若干の栄養素(特にビタミン)の減少は避けられませんが、これは通常の保存方法(冷蔵や室温保存)による減少よりも少ないことが多いです。
- 例えば、冷凍ブロッコリーでは、ビタミンCの減少は新鮮なブロッコリーを冷蔵保存した場合よりも少ないことが示されています。
冷凍による細胞破壊と栄養素への影響
- 細胞構造の変化
- 冷凍することで野菜の細胞が壊れることがあります。これにより、食感が変わることがありますが、栄養素自体は細胞の破壊だけで壊れるわけではありません。
- 細胞が壊れることで、酵素反応が抑えられるため、栄養素の保存に寄与することもあります。
- ビタミンの影響
- 冷凍自体が直接ビタミンを壊すことは少ないですが、ブランチングによる熱処理で一部のビタミンが失われることがあります。しかし、全体として見ると、この損失は通常の保存方法よりも少ないです。
- 例えば、ほうれん草ではビタミンA(ベータカロテン)は冷凍してもほとんど失われませんが、ブランチングの過程で少しの損失があることがあります。
具体例
- 冷凍ほうれん草
- 新鮮なほうれん草を冷凍する際には、まず軽く茹でてから急速冷凍します。この過程で、ビタミンCの約30%が失われることがありますが、残りのビタミンCは冷凍状態で長期間保存されます。
- ビタミンAや鉄分などの他の栄養素はほとんど失われません。
- 冷凍ブロッコリー
- 冷凍ブロッコリーは、収穫後すぐにブランチングしてから急速冷凍されます。これにより、ビタミンCの約20%が失われることがありますが、新鮮な状態で冷蔵保存するよりも栄養価が高く保たれます。
- フォリック酸やビタミンKなどの他の栄養素もほとんど変化しません。
結論
冷凍野菜は、新鮮な野菜と比較しても栄養価が高く保存されることが多く、特にビタミンCなどの不安定な栄養素の保存に効果的です。
冷凍による細胞破壊が食感に影響を与えることはありますが、栄養素自体への影響は限定的です。
したがって、冷凍野菜は栄養価を保ちながら手軽に利用できる優れた方法といえます。
では、冷凍食品として売られているものの栄養価はどうなのでしょうか?
市販の冷凍野菜の栄養価にはどうなのでしょうか?
冷凍食品として売られている野菜の栄養価について、具体的な例を用いて詳しく説明します。
一般的には、冷凍野菜は新鮮な野菜と比較して栄養価の低下が少ないとされています。
これは、収穫後すぐにブランチング(軽く茹でる)して急速冷凍することで、栄養素の保存が促進されるためです。
以下に具体的な野菜を例に挙げてその栄養価の変化について詳しく見ていきましょう。
冷凍野菜の具体例と栄養価の変化
1. 冷凍ほうれん草
- 栄養成分(100gあたり)
- 新鮮なほうれん草: ビタミンC約28mg、ビタミンA(ベータカロテン)約9377 IU、鉄分約2.7mg
- 冷凍ほうれん草: ビタミンC約24mg、ビタミンA(ベータカロテン)約8500 IU、鉄分約2.6mg
- 栄養価の変化
- ビタミンC: ブランチングの過程で約15〜20%のビタミンCが失われますが、冷凍保存中の減少は少ないです。
- ビタミンA(ベータカロテン): 冷凍保存中に若干の減少が見られますが、大部分は保持されます。
- 鉄分: 鉄分などのミネラルはほとんど変化しません。
2. 冷凍ブロッコリー
- 栄養成分(100gあたり)
- 新鮮なブロッコリー: ビタミンC約89mg、ビタミンA(ベータカロテン)約623 IU、カルシウム約47mg
3. 冷凍野菜ミックス
- 栄養成分
- カロリー: 100gあたり約25〜35kcal
- タンパク質: 約2〜3g
- 脂質: 約0.5g未満
- 炭水化物: 約5〜7g
- ビタミンやミネラル: ビタミンA、ビタミンC、カルシウム、鉄などが豊富に含まれる
- 栄養価の特徴
- 冷凍野菜ミックスは、新鮮な野菜を収穫後すぐにブランチングして冷凍するため、ビタミンやミネラルの損失が少ないです。
- ビタミンCはブランチングの際に一部失われることがありますが、冷凍状態で長期間保存されます。
- 例えば、冷凍ブロッコリー、冷凍ほうれん草、冷凍にんじんなどは、新鮮な状態に近い栄養価を保っています。
市販の冷凍野菜の作られ方とと自分で作った冷凍野菜の違いはあるのでしょうか?
市販の冷凍野菜と自家製の冷凍野菜の違い
市販の冷凍野菜と自家製の冷凍野菜の違いについて詳しく説明します。
市販の冷凍野菜の作られ方
市販の冷凍野菜は以下の工程で作られます:
- 収穫
- 野菜は最適な成熟度で収穫されます。これは通常、野菜が栄養価のピークに達した時期です。
- 洗浄とカット
- 野菜は洗浄され、必要に応じてカットされます。これにより、表面の汚れや残留農薬が取り除かれます。
- ブランチング(湯通し)
- 野菜は短時間(通常1〜2分間)高温の湯に通されます。これにより、酵素の活動が止まり、色や風味、栄養価の保持が促進されます。
- ビタミンCなどの一部の栄養素はこの過程で若干失われることがありますが、全体的な栄養価の損失は最小限に抑えられます。
- 急速冷凍
- ブランチング後、野菜はすぐに氷水で冷却され、その後急速冷凍されます。急速冷凍は野菜の細胞を保護し、品質を保持するために重要です。
- 包装
- 冷凍された野菜は包装され、販売されます。包装には通常、酸素を遮断するためのフィルムが使用され、これにより酸化による品質劣化が防がれます。
自家製の冷凍野菜の作り方
自家製の冷凍野菜は以下の工程で作られます:
- 収穫または購入
- 新鮮な野菜を収穫するか購入します。
- 洗浄とカット
- 野菜を洗浄し、必要に応じてカットします。
- ブランチング(湯通し)
- 市販の冷凍野菜と同様に、野菜を短時間湯通しします。この過程は必須ではありませんが、酵素の活動を止めて品質を保つために推奨されます。
- 冷却
- ブランチング後、野菜を氷水で冷却します。
- 冷凍
- 冷却した野菜を冷凍庫に入れます。家庭用冷凍庫では急速冷凍機能がないため、市販の冷凍野菜ほど素早く冷凍されません。
- 包装
- 冷凍保存用の袋や容器に入れて保存します。空気を抜いて密閉することで、酸化を防ぎます。
市販品と自家製の冷凍野菜の違い
- 急速冷凍の品質
- 市販の冷凍野菜は急速冷凍機能を使用しているため、細胞がよりしっかり保護され、品質が高く保たれます。家庭用冷凍庫では急速冷凍が難しく、氷の結晶が大きくなりやすいため、食感や品質が若干劣ることがあります。
- 栄養価の保持
- 市販の冷凍野菜は収穫後すぐに処理されるため、栄養価が高く保たれます。自家製の場合、購入からブランチングまでの時間が長いと栄養価が減少する可能性があります。
- ブランチングの効率
- 市販の冷凍野菜は一貫したブランチング時間と温度で処理されるため、酵素の活動が効果的に止められ、品質が安定しています。家庭ではブランチングの時間や温度が一定しない場合があり、品質のばらつきが生じることがあります。
具体例:ほうれん草の場合
市販の冷凍ほうれん草
- 栄養価: ビタミンC約24mg(100gあたり)、ビタミンA(ベータカロテン)約8500 IU、鉄分約2.6mg
- 品質: 急速冷凍されているため、色鮮やかで食感が良好。栄養素が高く保持されている。
自家製の冷凍ほうれん草
- 栄養価: ビタミンC約20mg(100gあたり)、ビタミンA(ベータカロテン)約8000 IU、鉄分約2.5mg(収穫からブランチングまでの時間に依存)
- 品質: 家庭用冷凍庫での冷凍により、若干食感が変わることがある。栄養価の減少も市販品より大きい場合がある。
結論
市販の冷凍野菜は、急速冷凍技術と効率的なブランチングプロセスにより、品質と栄養価が高く保たれる傾向があります。
一方、自家製の冷凍野菜は手軽に作れるものの、冷凍プロセスの違いにより栄養価や食感が若干異なることがあります。
それでも、適切な方法で冷凍すれば、自家製でも十分に高い栄養価と品質を保つことができます。
以上が一般的なアカデミックな回答なのです。
しかしながら、安心するのは、ちょっと待ってください。
冷凍野菜に使用される可能性のある食品保存料や食品添加物と、それらに関する懸念について詳しく説明します。
冷凍野菜では、保存料や添加物の使用は比較的少ないですが、品質保持や見た目を良くするために使用されることがあります。
冷凍野菜に使用される可能性のある保存料と添加物、およびその危険性
1. アスコルビン酸(ビタミンC)
- 用途: 酸化防止剤
- 例: 冷凍ほうれん草、冷凍ブロッコリー
- 危険性: 通常の摂取量では安全ですが、過剰摂取は消化不良や下痢を引き起こす可能性があります。アスコルビン酸は天然に存在するビタミンCであり、添加される量も少量であるため、通常の食品摂取では問題ありません。
2. クエン酸
- 用途: 酸化防止剤、pH調整剤
- 例: 冷凍レモンジュースや冷凍フルーツミックス
- 危険性: 通常の食品添加物として使用される量では安全です。しかし、大量摂取すると歯のエナメル質に影響を与える可能性があります。
3. 塩
- 用途: 防腐剤、風味付け
- 例: 一部の冷凍野菜ミックスや調理済みの冷凍野菜料理
- 危険性: 過剰摂取は高血圧や心臓病のリスクを増加させる可能性があります。冷凍野菜自体には通常多くの塩は添加されませんが、調理済みの冷凍製品では塩分が多く含まれる場合があります。
4. ソルビン酸カリウム
- 用途: 保存料
- 例: 保存料を使用する場合がある一部の冷凍野菜製品
- 危険性: ソルビン酸カリウムは一般に安全とされていますが、過剰摂取するとアレルギー反応や消化不良を引き起こす可能性があります。また、長期間の大量摂取が発がん性のリスクを増加させる可能性が議論されています。
5. ナトリウムメタ重亜硫酸塩
- 用途: 防腐剤、漂白剤
- 例: 冷凍野菜の色を保持するために使用されることがあります
- 危険性: 亜硫酸塩アレルギーを持つ人々にとっては、アレルギー反応を引き起こす可能性があります。また、過剰摂取は呼吸器系への影響を与える可能性があります。
具体例とその危険性
冷凍ほうれん草
- 使用される添加物: アスコルビン酸
- 危険性: ビタミンC(アスコルビン酸)は過剰摂取で消化不良や下痢を引き起こすことがありますが、通常の食品摂取量では安全です。
冷凍ミックスベジタブル(ニンジン、グリーンピース、トウモロコシ)
- 使用される添加物: 塩、クエン酸
- 危険性: 塩分の過剰摂取は高血圧や心臓病のリスクを増加させます。クエン酸は通常の量では安全ですが、大量摂取は歯のエナメル質に影響を与える可能性があります。
冷凍フルーツミックス
- 使用される添加物: ソルビン酸カリウム、ナトリウムメタ重亜硫酸塩
- 危険性: ソルビン酸カリウムは過剰摂取でアレルギー反応や消化不良のリスクがあります。ナトリウムメタ重亜硫酸塩はアレルギー反応や呼吸器系への影響を引き起こす可能性があります。
結論
冷凍野菜には、品質保持や見た目を良くするために一部の保存料や添加物が使用されることがあります。
多くの冷凍野菜製品は、ブランチングと急速冷凍のみで保存料や添加物を使用せずに品質を保っています。
成分表示を確認し、過剰摂取のリスクが低い製品を選ぶことが大切です。
食品添加物や保存料など加工過程の問題を取り上げましたが、その前に、野菜のコンディションも心配になるところです。
特に、注目を集めた社会問題を取り上げてみましょう。
中国産野菜や中国製加工食品の問題
中国産の野菜や食品に関して、過去に報道された品質や安全性に関する問題について具体例を挙げ、発覚した年も含めて詳しく説明します。
1. 中国産ほうれん草
発覚年: 2002年
問題: 残留農薬の基準超過
具体例:
- 2002年に日本の厚生労働省は、中国産ほうれん草から基準値を超える残留農薬が検出されたことを発表しました。具体的には、有機リン系農薬(ジクロルボス)やピレスロイド系農薬(シペルメトリン)が基準を超えて検出されました。
- この事件を受けて、日本政府は中国産ほうれん草の輸入を一時的に禁止しました。その後、中国側が対策を講じることで輸入は再開されましたが、消費者の間では中国産食品に対する不信感が高まりました。
2. 中国産冷凍餃子
発覚年: 2008年
問題: メタミドホス中毒
具体例:
- 2008年に日本で、中国産冷凍餃子を食べた消費者が健康被害を訴える事件が発生しました。原因は餃子に含まれていた農薬メタミドホスであり、これにより数十人が体調不良を訴えました。
- 事件を受けて、日本の食品業界と政府は中国産食品の検査を強化し、消費者の信頼回復に努めました。この事件は、中国産食品に対する警戒心を一層強める結果となりました。
3. 中国産冷凍野菜
発覚年: 2010年
問題: 高濃度の硝酸塩
具体例:
- 2010年に日本で、中国産の冷凍野菜(ブロッコリーやほうれん草)から高濃度の硝酸塩が検出されました。硝酸塩は野菜中に自然に存在する成分ですが、高濃度で摂取すると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 日本の消費者庁は、この問題を受けて消費者に対し、該当製品の摂取を控えるよう呼びかけました。また、輸入業者は製品のリコールを実施しました。
4. 中国産小松菜、レタス
発覚年: 2006年
問題: 残留農薬の基準超過
具体例:
- 2006年に日本で、中国産小松菜とレタスから基準を超える残留農薬が検出されました。特に、ジクロルボスやピレスロイド系農薬が問題視されました。
- 日本の農林水産省と厚生労働省は、これを受けて中国産野菜の検査を強化し、輸入業者に対しても厳しい基準を設けました。
5. その他の中国産食品問題
発覚年: 2013年、2014年
問題: 偽造食品、品質管理の欠如
具体例:
- 2013年と2014年に中国国内で発覚した偽造食品事件は、国際的にも大きな波紋を呼びました。例えば、2013年には中国産の偽造ミルクパウダーが発覚し、乳幼児に深刻な健康被害をもたらしました。
- また、2014年には中国の大手食品メーカーが、期限切れの鶏肉を使用していたことが発覚し、日本や他の国々に輸出されていたことが判明しました。この事件も中国産食品に対する不信感を増大させました。
結論
中国産の野菜や食品に関する問題は、過去に何度も報告されており、そのたびに消費者の間で不安や不信感が高まっています。
日本の消費者にとっては依然として中国産食品に対する警戒心が強い状況です。
こうした問題を回避するためには、購入する食品の産地や品質表示をよく確認し、安全性の高い製品を選ぶことが重要です。
東洋医学、鍼灸治療からひと言
今回の「冷凍野菜の不都合な真実」は、いかがだったでしょうか?
冷凍技術の向上による恩恵は計り知れないものがあると感じています。
私の住む栃木県宇都宮市は、海なし県ですが、この急速冷凍技術で、美味しい魚が食べれるようになりました。
冷凍野菜に限らず、加工食品の添加物、保存料も功罪あります。
よく見極めたいところですね。
で、一番大切なのは、その食べ物、食品のエネルギーだと思うんです。
同じ野菜でも採れたては、やはり美味しい。
これは、成分分析では表現できないのかもしれません。
この美味しさは、エネルギーの高さかもしれません。
また、反対に少し熟成させた方が美味しい食べ物もありますよね?
熟成とは違いますが、ちょっと天日干しした野菜は、採れたてのときとは、違った美味しさがあります。
これは、太陽のエネルギーが加わったから・・・なんて妄想をしながら、自家製天日干しを楽しんでいます。
現代科学的な視点は、一旦置いておいて、食べたときの美味しさを含む、エネルギー力みたいなものを感じてみてはいかがでしょうか?
冷凍野菜の話に戻しますね。
忙しい現代人にとって、作り置きとして野菜の冷凍を取り入れるととっても便利です。
休日に、1週間分の野菜を購入して下処理をしておけば、仕事から帰って、煮たり焼いたりするだけですぐに食べられますからね。
市販の冷凍野菜ではなく、自家製冷凍野菜の作り置き、おすすめです。