いまさら聞けないアレルギーとは
蕎麦やピーナッツは重篤化しやすいと聞きます。
なぜでしょうか?
アレルギーとはなに?
アレルギーになる原因は?
アレルギー体質の対処法は?
アレルギーを持たないひとっているの?
珍しいアレルギーってありますか?
金井 進さんによるアレルギーContents
アレルギーとは?
アレルギーは、免疫系が通常無害な物質(アレルゲン)に対して過敏に反応する状態です。
アレルゲンにさらされると、免疫系はこれを有害なものとして認識し、抗体(特にIgE抗体)を作り出します。
その後、再びアレルゲンに接触すると、IgE抗体がマスト細胞と結合し、ヒスタミンや他の化学物質が放出され、アレルギー症状が引き起こされます。
アレルギーになる2ステップ
アレルギーと免疫の関係を具体的な例で説明します。ここでは花粉症を例にとって、そのメカニズムを詳しく見てみましょう。
例:花粉症
ステップ1:初回のアレルゲン曝露
- アレルゲンの侵入
- 春になると花粉が飛散し、鼻や目の粘膜に付着します。
- アレルゲンの認識
- 花粉(アレルゲン)は免疫系に認識されます。花粉の特定のタンパク質が、免疫細胞の一種である抗原提示細胞(APC)によって捕捉されます。
- 免疫反応の開始
- 抗原提示細胞は、花粉のタンパク質を分解し、その断片を細胞表面に提示します。この断片がヘルパーT細胞(Th細胞)に認識されます。
- 抗体の産生
- Th細胞はB細胞を活性化し、B細胞は花粉のタンパク質に対する特異的なIgE抗体を産生します。これらのIgE抗体は、マスト細胞や好塩基球の表面に結合します。
ステップ2:再曝露
- アレルゲンの再侵入
- 翌年の春、同じ種類の花粉が再び鼻や目に付着します。
- IgE抗体との結合
- 花粉のタンパク質が、マスト細胞や好塩基球の表面に結合しているIgE抗体と結びつきます。
- マスト細胞の活性化
- IgE抗体と花粉タンパク質が結合することで、マスト細胞が活性化されます。これにより、マスト細胞からヒスタミンや他の化学物質が放出されます。
- アレルギー反応の発生
- ヒスタミンなどの化学物質が放出されることで、鼻水、くしゃみ、目のかゆみ、涙目などの花粉症の症状が発生します。
アレルギーと免疫の関係
アレルギーは、免疫系が本来無害な物質(アレルゲン)に対して過剰な反応を示す状態です。この過程で中心的な役割を果たすのがIgE抗体とマスト細胞です。
アレルギーになる原因は?
アレルギーの原因は多岐にわたりますが、以下が一般的な要因です:
- 環境要因:空気中のアレルゲン(花粉、ダニ、カビなど)や食べ物、薬物などに繰り返し曝露されることでアレルギーが発症することがあります。
- 免疫系の過敏性:免疫系が過剰に反応しやすい場合、アレルギーが発症しやすくなります。
蕎麦やピーナッツが重篤化しやすい理由
蕎麦やピーナッツは、特に重篤なアレルギー反応(アナフィラキシー)を引き起こすことが知られています。これには以下の理由があります:
- 強力なアレルゲン:蕎麦やピーナッツには強力なアレルゲンタンパク質が含まれており、少量でも強い反応を引き起こします。
- 広範な交差反応:これらの食品アレルゲンは、他の植物や食品アレルゲンと交差反応を起こしやすいため、アレルギー反応が広がることがあります。
- 頻繁な接触:これらの食品は日常的に消費されることが多く、知らずに摂取する機会が多いため、リスクが高まります。
アレルギー体質の対処法
- アレルゲンの回避:アレルゲンを避けることが最も基本的な対策です。食物アレルギーの場合は、成分表示をよく確認し、アレルゲンを含む食品を避けることが重要です。
- 薬物療法:抗ヒスタミン薬、ステロイド、アドレナリン(エピペン)などの薬物が症状の緩和やアナフィラキシーの緊急治療に用いられます。
- 免疫療法:アレルゲン免疫療法(アレルゲンに少量ずつ曝露し、免疫系を鈍感にする治療法)が一部のアレルギーに対して行われます。
- アレルギー予防:早期のアレルゲン曝露の回避や、生活環境の改善(ダニやカビの除去など)によってアレルギー発症の予防が試みられます。
アレルギーを持たない人はいるのか?
完全にアレルギーを持たない人は非常に稀です。
多くの人は一生のうちに何らかのアレルギーを経験する可能性があります。
ただし、アレルギーの発症リスクは個人差があり、生活習慣や環境要因によって異なります。
珍しいアレルギー
- 水アレルギー(Aquagenic Urticaria):水に触れると蕁麻疹が発生する非常に稀なアレルギー。
- 日光アレルギー(Solar Urticaria):日光に曝露されると皮膚に発疹やかゆみが生じるアレルギー。
- コールドアレルギー(Cold Urticaria):寒さや冷たい物に触れることで皮膚に発疹ができるアレルギー。
- 接触性皮膚炎(Contact Dermatitis):金属(ニッケルなど)や化学物質に触れることで皮膚に炎症が生じるアレルギー。
まとめ
アレルギーは免疫系の過剰反応が原因であり、そのメカニズムは複雑ですが、主要な要素としてIgE抗体とマスト細胞の関与があります。
アレルギー反応を理解するためには、免疫系の働きやその反応の仕組みを詳しく知ることが重要です。